ろく

少女娼婦 けものみちのろくのレビュー・感想・評価

少女娼婦 けものみち(1980年製作の映画)
3.0
目の覚めるようなショットはあるものの、どうもしっくりこない。神代映画だと宮下順子や芹明香などトウのたった(感じのする)女優のが湿度にぴったりとくる。その点でこの映画は難しいかも。

まず主役の子が若いしかわいすぎるんだよ。だからだろうか、神代特有の「したたかさ」が見えてこない。いや新境地なのはわかるんだけどどうもね、と思い最後まで乗れなかった。

それでも内田裕也の暴力性はすごかったし(ストックホルムではないけど内田は暴力性の中に優しさがあると錯覚させる。今考えればそれは単なる錯覚なんだけどその錯誤も込みで昭和だったんだ)僕らは見ていてコーフンする。ただこの映画ではそこに女性の「強さ」「したたかさ」が見えてこない。いや最後のショットなんかはその強さを見せようとしている。でもどうしてもそれが若さに隠れて見えなくなってしまう。そこが最大の瑕疵ではないか、見ていてそう思った。

そうそう、神代と海について。海を映せばもういいだろう的なシーンがあるのに海があるだけで(そしてそこに女優がいるだけで)満足してしまう自分がいる。そういえば「恋人たちは濡れた」でも浜辺のシーンだった。海は女性をイメージさせる豊饒の源だとでも言うとダサいフロイトの二番煎じにもなるだろうけど。

いろいろ文句も言ったが、それでも海辺での逆立ちのシーンはすごかった。最後、吉村をフェラチオさせる内田には痺れた。神代信者だからそう言ってしまうのかもしれないけど、どんな凡作でもショットに痺れるシーンを持ってきて、映画を見た気にさせてしまう。それが神代映画だと思っている。
ろく

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