桃子

フリークス(怪物團/神の子ら)の桃子のレビュー・感想・評価

4.2
「中身が大切」

いわゆる「異形」が登場する映画は嫌いではない。今は考えられないが、昔は身体障碍者や五体満足ではなく生まれてきた人を「見世物」としてサーカス等で客寄せパンダにすることが普通に行われていた。「エレファント・マン」もそうだった。(見たことがありますが、再見していないのでレビューはまだ書いていません)
監督のトッド・ブラウニングは、この映画で失敗し、映画人としてのキャリアを失ってしまったという。とても残念なことだ。「当時の情勢や良識は、ショッキングなラストを激しく非難した。あまりに不穏とされたシーンを多く削ったものの、論争の的となり、商業的失敗作となってしまった」とのこと。考えてみたら、今から100年前(正確には99年前)の映画である。今よりずっと偏見があったのは想像に難くない。
ブラウニング監督の代表作といったら、やはり「魔人ドラキュラ」だろう。私の大好きな映画である。ベラ・ルゴシが素晴らしかった!
この映画の次に作ったのがこの「フリークス」である。監督は実生活でもサーカスの芸人さんたちと親しくしていたそうである。人間は外見じゃない、中身が大切なんだという思いもこめたのだろう。100年前にもちゃんとこういう考えを元に映画を作った人がいたのは素晴らしい。
異形の人を見ると、人間は本能的に恐怖や不快感や憐憫などを感じるのかもしれない。自分が健常者だから、“普通”ではなく生まれた人たちのことが理解できない。想像もつかない。でもそれではいけないのではないか。この映画を見て、つくづくそう思った。
桃子

桃子