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フリークス(怪物團/神の子ら)のdiesixxのレビュー・感想・評価

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Criterion版「TOD BROWNING'S SIDESHOW SHOCKERS」より。
以前に見たのは20年くらい前か。今回『知られぬ人』、『からくり四人組』と順を追って見ていくとトッド・ブラウニングが、自らのルーツでもあるサイドショウの生活風俗を活写しながら、恐怖、犯罪、ロマンス、メロドラマを組み合わせた作品群の集大成として本作を完成させたことがよくわかる。
本作は本当にサーカスで活躍していた障害者らが画面内に登場し、瞠目すべき技能を見せつつも、ブラウニングの関心はあくまでも様々な人間関係に一喜一憂する団員たちの青春群像に向く。ミゼットの青年ハンスを誘惑し、財産を搾取しようとするクレオパトラは、裏で彼らを蔑み、嗤い、表でも仲間になることを拒み、暴言を吐く。前半で団員たちの生活を丁寧に描いているため、この決定的な場面により「フリークス」の意味が反転する仕掛けとなっている。
…のだが、そこはブラウニング。クレオパトラに復讐の刃を向ける団員たちを、恐ろしい普通に「モンスター」として描いてもいるため、現代のポリティカルコレクトの尺度では差別的と捉えることも可能だろう。クレオパトラへの復讐は、かなり残酷。
見るものに忘れがたいビジョンを残してくれる異形の傑作。
馬車の中のアクションなどは『からくり四人組』でもその片鱗が見られた。
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