なつこ

母の身終いのなつこのレビュー・感想・評価

母の身終い(2012年製作の映画)
3.3
尊厳死について静かに考える時間だった。

進んで死にたい訳じゃない。
でも苦しんで死ぬのは嫌だ。

無職だわ文句ばっかり言うわ、しょーもない息子、でもそれは母に甘えていられるから。
母の死の準備を始めてからの彼は、殆どセリフがない。
もう甘えることが出来ない現実を、身をもって感じていく。
反抗することも無く、キレることも無く、自分の足元を、母の選択を、しっかり受け止めていくのが分かった。

ボウリングで知り合った彼女との会話に、それが集約されている。
質問に答えなかったあの時。
駐車場で声をかけたあの時。


今から死にますっていうその本当に最後の数分間、何を話したら良いのか分からないよね。でもここまできたら、言葉なんて不要な時間なのかもしれない。
不安なその時間を一緒に過ごしてくれる人がいれば、それだけで。

2人が大切な時間を過ごせたのはワンコのおかげだよね。あれが無かったら、喧嘩別れしたままだったかも。
私も人生の中で何度もワンコに助けられたもんな…やっぱ動物って偉大。


あなたの人生は幸せでしたか?
と聞かれて、はいと答えられる最期でありたい。
なつこ

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