こーじ

親密さのこーじのレビュー・感想・評価

親密さ(2012年製作の映画)
4.3
これで濱口竜介作品はほぼコンプリート。

4時間超えの超大作であり、前半は演劇に携わる男女がメインで、後半はその男女が作った作中劇となる。

正直、前半はややきつい。素人役者なので聞き取りづらいし、構成的にもだれている。前半のラストシーンの夜明け前を歩くシーン等はエモいが、全体としてはかったるい印象。

ところが後半は良かった。前半のただのモブキャラだったキャストが作中劇を演じる事で輝いており、特にゆきえと佳代子はその会話のテンポとリアルさでぐいぐいこっちを引っ張ってくれた。良平役の朴訥とした感じも前半は聞き取りづらい事もあり反感があったが、後半は役と相まって良かった。個人的には佳代子の元カレのチャラい感じがいい味出していた。

「世界は情報ではない〜尊敬ではなく尊重して欲しい」の下りは濱口竜介の哲学と役者の熱も相まって個人的には一番のお気に入り。

出演者はほとんど素人なので聞き取りづらいしイライラする事もあったが、途中からはそんな役者の弱さや取るに足りないセリフを積み重ねる事こそが目的だと気づき、味わう事ができた。

そして、後半ラストシーンの直球のエモさはここまで変化球を投げ続けてきたからこその破壊力であり、心に残る名シーンとなっていた。
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