囚人13号

親密さの囚人13号のレビュー・感想・評価

親密さ(2012年製作の映画)
3.7
前半のみ再見。これまた狭隘な世界で、自分≒他人という哲学めいた問いや入れ込み構造が今読んでるレーモン・ルーセル(クッソ読みにくい!)に少し似てるとか思いつつ。
舞台上の二人を片方ずつ切り返して向かい合っているように錯覚させる編集とか面白くはあるんだけど、悉く感情移入を断ち切られるような居心地悪さは遂に消えなかった。

こうした感情の逆張り(?)は監督の演技観から来てるんだろうが、そもそも舞台内外限らず彼らの世界は「内輪」でしかないんで急に戦争をチラつかされても、外側からの視点が決定的に欠けてるので実験映画の域を出ない。
舞台という小宇宙における詩や言葉の強度も、(本当の意味での"現実"は描かずに済ませてしまっているので)悲しいかな外界とは何一つ共鳴していなかった。

このミニマルさゆえ運動性も希薄なのだが、あのラストを見せられたら何も言えねぇ。積み重ねられてきた全ての切り返しがここに回収されていくようで、21世紀日本で未だ「駅」をメロドラマ的な別れの場として撮りうる才能にただ感激してしまった。
濱口さん、フィクションに振り切った映画撮ったらめっちゃ良いのできそうだよな。
囚人13号

囚人13号