4時間以上の映画を観る経験がなかったので身構えていたが、途中休憩があったおかげなのか、あまり時間を感じなかった255分で、まぁとにかく面白かった。劇中で演技をさせるという濱口竜介らしい大胆なメタ的構成がとにかく巧みで、そこから浮き彫りになる人間性にとにかく考えさせられた。普通だったらこの題材、この長さで作ったら絶対飽きるはずなのに、もう完全に惹き込まれた。濱口竜介の人間賛歌好きすぎる。
相変わらず日常描写が自然過ぎて、ああいう演技を引き出すが素晴らしすぎる。
メタ的な構成のなかで佐藤亮の違和感というか、多分意図的な演技が不自然でよかった。さらに彼の演じるキャラの矛盾が興味深く、彼というレンズを通して作品を覗くと、ひたすら共感性羞恥のような痛さを感じられた。実際口で言ってることと自分の行動の矛盾や、弱さを強みに生かす考え方は凄かったな。
劇中舞台もめちゃくちゃ面白く、普通にレベルが高かった。
最後は綺麗な終わり方で美しかった。
カサヴェンテやヌーヴェルヴァーグを殆ど観たことがないので、とにかく演出が新鮮であったし、ここまで完璧な演出に仕上がっている映画って、そうそうお目にかかれないと思う。
次はハッピーアワーに挑戦してみたい。