このレビューはネタバレを含みます
暴力に関する詩の迫力にはグッと来たが、劇中劇の、怒涛のバストアップがしんどくなってしまった。最後のシーンはすごかったけど、他の濱口竜介の作品よりはのめり込めなかった。ハッピーアワーとかの、哲学的な会話になっていく過程の、その論の密度・強度の高さに圧倒されてきたんだが、これは根詰めていくというより、詩でブーストさせていくのがちょっとノレなかった。普段詩を読むけど、なんでこれダメやったんやろ。
見悶えるほど男の自己陶酔が気色悪くて、男が暴れて女が寄り添うシーンが多く、そこで愛とは恋とは、という話に展開していくのでうーん、という感じがした。
戦争と演劇とかいう真反対のもの、社会とカルチャーの距離感を問うていて真摯だなあと思った。結局その溝にどう行動すれば真摯と言えるのか、という物語であるのだが。アイデンティティを開示していく問答のシーンで憲法改正デモの声が聴こえるのはちょっと恣意的すぎる気がした。
勉強してる筈なのに冷笑ばっかして壁作ってもどうしようもないねん!と思った。それは自分にもそう。