小波norisuke

椿姫ができるまでの小波norisukeのレビュー・感想・評価

椿姫ができるまで(2012年製作の映画)
5.0
本当に「椿姫ができるまで」を見せてくれる。舞台模型から舞台が出来、衣装がつくられ、オーケストラの音楽が完成していく。すべてが楽しく、心が踊る。とりわけ、肝として描かれているのは、オペラ歌手のナタリー・デセイが、演出家の高度の要求に応えて、どんどんと椿姫へと変化していく様子だ。

稽古場での軽口を交わしながらの演出指導から舞台稽古へと、どんどん椿姫が出来上がっていく。デセイの歌と表情やしぐさを通じた表現力にただただ圧倒される。映画は舞台の本番直前で終わる。とてもスリリングな体験だった。

ナタリー・デセイという人の能力に感嘆させられてしまう。このような人を「至宝」というのだと思う。ここに至るまでどれだけの厳しい研鑽を積んだのだろう。

オペラのチケットはとても高価で、敷居が高いが、これだけの才能がさらに磨きをかけて紡ぎ合わされるのだから当然だと納得してしまった。

このような極上の体験を、行きなれた映画館で、映画料金で味あわせてもらえる。なんてありがたいのだろう。
小波norisuke

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