ボタンを掛け違うくらいのなんてことない感覚で一瞬にして人生が転落してしまうこともある
当然のように掛け違えたボタンを戻そうとするのに、その指先の震えが収まらないからなかなか正しいボタンホールと出会えない
もがいてももがいても一向に光明が差し込まない人生
それなのにもがくことを諦めない
なぜなら諦めたらそれはすなわち死を意味するからだ
別に彼らは自殺志願者などではない
背伸びすることなく普通に生きていたらたまたま躓いてしまっただけだ
泥だらけの道のりでもそれでも歩みを止めない姿かたちを見届けてあげるのもまた一つの姿かたち
主演の安藤サクラと柄本佑は実の夫婦、さらに監督の奥田瑛二は安藤サクラの父親という身内で固められたキャスティングだが、そんな身内感は微塵も感じずあくまでフラットな目線と演出で作られた一本