面白かったし役者はみんな良かったんだけど、圧倒的に「生活感」が足りない。この映画の麻生久美子は生活にも困らず、仕事をサボって次の脚本のために元カレの所へボランティアへ行き、ひたすら脚本を書いているのだが、どうやって生活していたのか。ひたすらばしゃ馬のように真っすぐなのはいいんだけど、そこには泥臭さも葛藤もない。夢にいつまでもしがみつき続けるための環境が整っているうえで成り立つ話になっているので、甘ったるい話としか思えなかった。誰も認めてくれない（いつまでも自分の書いた脚本が評価されない）から、仲良くしてくれる若い男の子に存在を肯定してもらって自我を保とうとするのもキツい。
お金も心の余裕もなくなり、挙句の果てには家族や知人からも見捨てられ、それでも子供心を忘れずにただただ面白い脚本を書こうとする主人公の映画の方がよっぽど面白いと思う。[ビックマウス]
