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パニック・マーケット3Dのmanacのネタバレレビュー・内容・結末

パニック・マーケット3D(2012年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

思いの外面白い
津波のシーンがあるから日本公開すべきか否かで話題になった映画って、コレだっけ?

昨今のサメは宇宙やら人の夢の中やらとやたらとその行動範囲を広げており、今更スーパーマーケットに現れてもさほど驚きはしない。
ハイハイいつものB級サメ映画ね、と高を括って鑑賞したら、思いの外真面目に作ってて思わず見入ってしまった。

舞台はゴールドコースト。
地震により津波が発生し、浸水したスーパーに閉じ込められた客と店員が脱出を嘗みるが、なんと津波と共にサメまで店内に流れ込んできたことが判り、事態はより緊迫した状態に。
果たして無事に生還出来るのか?
というストーリー。

★★★★★魅力的な登場人物
サメ映画にしては登場人物が濃い。もうすっかり主人公の影が薄くなる程に。
まるでアガサ・クリスティのミステリでも始まりそうな多彩な顔ぶれ。
サメ映画にそこまでの設定必要?
個々のキャラ設定がしっかりしているから、飽きることなく最後まで鑑賞できる。

・ジョシュ
主人公。イケメン元ライフセーバー。
1年前に友人権同僚権恋人の兄権未来の義兄の男をサメに襲われて亡くしたことに自責の念を感じ、婚約を解消し現在はスーパーの店員として生計を立てている。
生き残る為に、負傷してサメのいる水中に入れないという設定を与えられてしい、主人公でありながら殆ど活躍しない顔が良いだけの男。

・ティナ
兄を亡くしてからシンガポールに渡ったが、いつの間にか新恋人(?)スティーブンを連れて帰国。スティーブンと訪れたスーパーで仲良くショッピングしているところにジョシュと再開する。
地震の少ないオーストラリア出身だが、余震の事など知っているあたり、知識人?

・スティーブン
ティナと共にゴールドコーストにやってきた正義感の強いヒーロー型男。
ティナとジョシュがお互い未練たらたらなのを見抜き、ご丁寧に「僕と彼女の間には何もなかった。彼女は未だ君を想ってる」的なことをこっそりジョシュに伝える。割と直ぐ側にティナいましたけどね。彼女難聴?
怪我人を助けたり、危険を冒して脱出活動したりと、ほぼ主人公並の活躍はするが、結局はジョシュの当て馬になるために遥々シンガポールからやってきました。
「何も無い」女のために国境まで越えてくるただのいい人。

・ジェイミー
いい歳して絶賛反抗期中で万引きをしては警察官である父親を困らせている。
スーパー店員のライアンと付き合っている。
ニコールリッチーを思わせる生意気そうな可愛い子。

・ライアン
スーパー店員。
ジェイミーが万引きしてライアンのところに逃げてきたところを店長に発見されクビになる。

・パパ
警察官。ジェイミーのパパ。
スーパーからの万引き通報により訪れたところ、実の娘が“また”万引きしていることがわかり、頭を痛めている。
日々娘の事件の揉み消しに勤しむ。
アメリカ映画ならこの非常時にリーダーシップを取りそうな役どころだが、生憎津波が来た際に大怪我を負い、さほど活躍はしない。

・強盗実行犯
借金が返せず、スーパー強盗をやらされる羽目になった借金男。
劇中終始冷静で口数少ないながらも正論を説く良識人のように見えるが、こんなやべぇところから返せないほどの借金をしているあたり、かなりワケアリの男と見て間違いない。
(気に入ったので吹き替え版でも再視聴したら、どうやら借金は弟のものだったらしい)

・強盗指示犯
借金の形代わりに強盗を強要するようなヤバい奴。サイコパス気味。
パニックを起こしたのか、元々単に頭オカシイ奴なのか、無意味にはた迷惑な行動に出る。
武器持ってんなら素直にそれでサメ退治しろよ。

・店長(?)
アジア系男性。店長だか部長だか知らんがスーパーの役職者。
短絡的自己中心的ヒステリック気味だが、中盤から唐突に目覚めて勇気ある行動に出る。

・ナオミ
スーパーの店員。
何だか途中から強盗実行犯とイイ感じに。
その男は辞めとけ。たぶんまともな男じゃないから。その気持ちはストックホルムシンドロームだ!気づけナオミ!
(借金は弟のモノだったけど、厄介な親族を抱えている強盗未遂犯というワケアリ物件であることに変わりはない)

・カイル
わざわざやる為に真っ昼間にスーパーの駐車場に彼女とやってくるチャラ男。
典型的なバカ男で、ホラー映画なら序盤で殺されるタイプ。ライアンのことをオタク呼ばわりしている。

・ヘザー
カイルの恋人。ブリーというポメラニアンの愛犬を連れている。真っ昼間っからスーパーの駐車場でSexにつきあわされるブリーもいい迷惑。
カイルの彼女に相応しく、300ドルのグッチのシューズを本物と信じて疑わない愛すべきおバカ女。
男を見る目はないが、ペットへの愛は本物。

全員泳ぎはバッチリです。
水没モノとなれば、一人や二人くらい「私は泳げないのよ!」とパニくる人が出て来るのが普通だが、さすがゴールドコースト、男も女も老いも若きも水泳はお手の物。ブーツ履いて服着たままでも難なく泳いでます。


★★☆☆☆迫力の津波と誤った地震知識
津波が押し寄せるシーンはなかなか迫力がありました。
が、地震大国ニッポンにおいて、胸の痛むシーンかもしれません。被害に遭われた方は鑑賞を控えた方が良いかもしれません。

そして津波を引き起こす肝心の地震、これがお粗末だった。
世界でも地震が少ないと言われるオーストラリアでは、地震とは未知のものなのでしょう。地震のシーンが不自然。
床はそんなに揺れてないのさ。商品棚も人々の行動を見ても、最大限に見積もっても震度4くらいの揺れなのよ。だけど、陳列された商品などは震度7くらいの勢いで落ちてくる。ポルターガイストか?地震知らずのオーストラリア、陳列も日本よりも遥かに落ちやすい置き方なのか?
では、震度3でボロボロ物が落ちてると仮定すると、また新たな謎が現れる。
地震発生から津波到達までが早い!津波の規模はかなり大きかったのでマグニチュード7〜9くらいはあると思います、地震大国ニッポン人としては(素人見解)。震度3であれば震源地からはかなり距離があるはずなのだけど…。津波到達時間と震源地からの距離は関係ないのか?
この地震の描写が、左前のキモノを着せるだとか、スシとスキヤキばっか食ってるとか、外国人の思う誤った日本人像みたいで面白い。
もー水臭いんだからー日本人を監修に呼んでくれれば良かったのにー。小学生でもリアルな地震知ってるよー(地域限定?)


★★☆☆☆執拗に生きた人間を襲うサメ
津波に流され都合よく3m越えのサメが二匹もスーパーに入り込んでくる。
いや、よく上手いことスーパーに入り込んだね…。コンクリやらガラスやらを水圧と己の体でぶち破って入ってきたんだな。
サメの方がよほどパニックである。ご無事で何よりです。
そして周辺には血を流した新鮮な死体がプカプカ漂っているのだが、飽くまでも生きている人間を襲うことに拘るサメ。
スーパーなので精肉やらフルーツやら野生生物でも「食べられるもの」と判りそうなお品はたくさんあるけれど、それらはすべて無視してひたすら生きている人間を襲うサメ。サメって踊り食いしかしない修正でもあるのかな?


★★★☆☆総評
せっかくゴールドコーストが舞台なのにほぼ水浸しの店内で話が進み美しい海が拝めないところが残念。
問題の津波シーンは私は全く気にならなかった。あくまでエンタメとして楽しめた。
即席で作った金網のサメ防御服はまるで昭和の子供が作ったロボットのようで思わず噴き出した。まじめなシーンだったけど。
面白かったです!
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