女っ気がない町オルトでは一瞬の輝きを放つ瞬間が夏の終わりであり、バカンスの季節らしい。この時ばかりは不純な理由でビーチに男たちが群がる。そんななか、シルヴァンはというと…
とにかくシルヴァンの行く末が気になるので、ハラハラしながら観ていた。とても、良かった。そして、色々と思うところのある話でもある。たしかに、彼がダメダメなのは見ていて明確なんだけど、そうなってしまう気持ちは分かる。
外の世界から明るく奔放な母親と、静かで内気な娘の2人の親子がシルヴァンの前に現れ、一緒に楽しい日々を過ごす。そうは言っても、男心に共感してしまったのは好きになるのはやはり明るい方の女性であること。
そして中盤以降、恋愛そのものの競争性や残酷さも徐々に露わになってきて、「うわっ…」という気持ちにもさせられた。
個人的にシルヴァンにとっては良いとも悪いとも言えるような物語の締め方は絶妙。捉え方によっては、彼にとって幸運で救いでもある出来事だし、その逆、グチャグチャな感情に苛まれるようなこともある気がしてならない。心が温まる感覚がありつつ、しっかりとやるせなさも感じさせる不思議な空気感の作品だった…
"人間同士の関係性"が知らないうちに相手に良い影響を与えているかもしれないということが分かるのも、『遭難者』と同じで、その部分の爽やかさが素晴らしかった。
［2021年 201本目］
