Neki

トランセンデンスのNekiのレビュー・感想・評価

トランセンデンス(2014年製作の映画)
3.5
超越を意味するトランセンデンス。自我や魂、個人を構成する核心をネットの世界へコピーできるとしたら、それは人類の核心的な新しい進化になる。「Ghost in the shell」で少佐がAIとの融合によって限界を超えたように。

攻殻機動隊を知っている人にとっては前半はある意味ほとんど同じテーマ、同じ内容の映画。自分が自分であるための必要な構成要素は実は大量にあって、その確たるものが個人の記憶なんだけど、攻殻の世界では記憶さえも偽物とすり替えることができるからもう個人を証明できるのはゴーストと呼ばれる魂的なものしかない。今回の映画はそのゴーストをAIにダビングできた設定のストーリー。

初監督映画ということで、そのほかいろいろな監督もそうだったようにまだまだ進歩の余地がある。AIと融合した個人の意識が引き起こす様々な技術的革新は人知を超えていて、やっぱり人類に大きな危機感を募らせてしまうわけだけど、ディストピアとして描かれがちな設定が多い中この映画ほどはっきりAIの善なる可能性だけを描き続けてむしろ人類を愚かに描いてしまうのもなかなかないものだと思う。

だからちょっともったいない点に結構目がいってしまうのだけど、「ガタカ」と同じで、心に何かしらの余韻が残らない映画ではなかった。
と感想を書きつつ、私の場合はジョニー・デップの妖艶さがAIになってスタイリッシュな映像に置き換えられてもなお魅力的で惹きつけられて、もうそれだけで2時間映画観れただけかもしれない。笑
映像がきれい。俳優陣が良かった。
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