kkkのk太郎

トランセンデンスのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

トランセンデンス(2014年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

人工知能として蘇った天才科学者と、彼を脅威に思う人間たちとの対立を描いたSFサスペンス。

天才的な頭脳を持つ人工知能の研究者、ウィル・キャスターを演じるのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『チャーリーとチョコレート工場』の、名優ジョニー・デップ。
キャスター夫妻の友人、マックス・ウォーターズを演じるのは『ダ・ヴィンチ・コード』や「MCU」シリーズのポール・ベタニー。
人工知能の研究者を狙った同時多発テロ事件を担当するFBI捜査官、ドナルド・ブキャナンを演じるのは『ダークナイト』トリロジーや『インセプション』の、名優キリアン・マーフィー。
キャスター夫妻やマックスとも旧知の中であるコンピューター科学者、ジョセフ・ダガーを演じるのは『ショーシャンクの空に』や『ダークナイト』トリロジーの、レジェンド俳優モーガン・フリーマン。

製作総指揮を務めるのは『ダークナイト』トリロジーや『インセプション』の、映画監督クリストファー・ノーラン。

『インセプション』(2010)でアカデミー賞撮影賞を獲得した撮影監督、ウォーリー・フィスターの映画監督デビュー作。
生成AIの技術が飛躍的に進歩し、その問題点について連日のように議論が為されている現代。それに先駆けるように公開された本作は、人工知能とそれを扱う人間との関係性について問題提起を投げかけている。
行き過ぎた科学技術の危険性を我々はすでに知っている。しかし、本当に危険なのは技術そのものなのか、それともそれを扱う人間なのか?AI技術が大きく発展している今だからこそ、この点について人類は今一度しっかりと考え直さなければならない。

…などと真面目に宣ってみたが、この映画ひとっつも面白くないです🌀ここまでヘナチョコだと逆に気持ちが良い!!

天才科学者ウィルは人工知能の研究者を狙った同時多発テロに巻き込まれるも一命を取り留める。
ここまで観た段階では「おっ!これはジョニー・デップがテロリスト集団を相手に一戦交える、景気の良い映画だな!」とワクワクしていた。
主人公がジョニー・デップ、相棒がポール・ベタニー、師匠がモーガン・フリーマン。この3人がFBIと一緒にテロリストに勝負を挑むなんて、それ絶対面白いやつじゃん!!
しかもFBI捜査官を演じるのはキリアン・マーフィー。もうこれは、仲間だと思っていたキリアンが実はテロリストのボスだったという展開が最後に待ち構えているやつじゃん!!絶対面白いやつじゃん!!

…なんて思っていながら観ていたこの俺のワクワクを返してくれ!!全然そんな映画じゃなかった…。
というか、メインキャストだと思っていたこの4人めっちゃ出番少ないじゃん…。なんやこれ一体?

メインヴィジュアルを見ると、ジョニー・デップの顔がこれでもかというくらいデカデカと掲げられている。これを見れば、誰だってこの映画の主役はジョニー・デップだと思うじゃん。
まさか開始15分くらいで死ぬとは思わんかった。そしてそのあとはなんとなんとのVTuber化。最後ちょっとだけ生き返るけど、結局生身のジョニー・デップが出演しているのって多分30分にも満たないですよね。こんなん詐欺やんけ!!💢
ジャッキー・チェンとかスタローンとかの映画には偶にある、脇役なのにさも主役かのようにデカデカと宣伝されるあれ。こういうのを「すかしっぺ映画」と呼んでいるが、この映画はまさにこれ。
主役はレベッカ・ホールなのに、それを隠してジョニー・デップばかりにクローズアップする。こういう売り方をしちゃダメよ〜ダメダメ🙅🏼

軍隊が出動して云々というストーリーなのだが、いかんせん出演者の数が少ないのでものすごくショボく感じる。なんか低予算で作った自主制作映画みたい。あまりにも人件費を削減した結果、なぜかFBIの捜査官が軍の指揮を執ることになってしまっている。
出演者の数が少ないのも有名俳優の出演時間がやけに短いのも、おそらくはギャラの関係なんだろう。ジョニー・デップだのモーガン・フリーマンだのと言った大物なんて使わないで、身の丈に合った役者を起用していればもう少し迫力のあるSF映画を撮る事が出来たんじゃないかな…。

本作ではAIよりも人間の方が危険である、ということを描きたかったのだろう。確かに、テロリズムや米軍による先制攻撃など、人間の野蛮さはよく描き込まれている。
それと対比するようにAIサイドの非暴力性が強調されていた訳だが、いやいやちょっと待て。治癒した人間を自分の分身に作り変えるというのは十分に暴力的ですよね。
実はVTuberジョニデは地球を修復してたんやで〜いい奴やったんやで〜と言われても、流石に人間をロボット化するのはダメでしょ。これでは暴力的な人間と非暴力的なAIという対比が霞んでしまう。
ヤバそうに見えたAIだが実は全然そんな事無かった、という風に描かないとダメだよね。ヤバそうに見えたAIはやっぱりヤバかったって話になっちゃってるよねこれ。

なんのかんの言っても、一番気になったのはやはりケイト・マーラ率いるテロリストの扱い方。こいつら普通にヤバすぎる犯罪を行っているのに、最後までそのことに対するお咎めがない。なんなら人間サイドの希望の星みたいに扱われている。
いやいや、今回のAIジョニー・デップの暴走とそいつらの犯罪は別問題だから!!逮捕しろよキリアン・マーフィー!!
というか、よく同僚を殺したテロ集団と肩を並べられるなモーガン・フリーマンとポール・ベタニー…。忘れてるのかも知れないけど、ジョニー・デップ殺したのそいつらですよ。

はっきり言って褒めるところを探す方が難しい、大すかしっぺ映画。興行的に大コケしたようだが、そりゃそうだろとしか言いようがない。
優秀な撮影監督が優秀な映画監督になれる訳ではない、という当たり前の事実を確認することが出来る映画でありました。

『マン・オブ・スティール』(2013)、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)、『ジャスティス・リーグ』(2017)、そしてこれ。
これらは今までクリストファー・ノーランがプロデュースしてきた作品である。ふーん…なるほど。
…ノーランさん、あなたプロデューサーとしての才覚はゼロやないか!!
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