アニマル泉

処女ゲバゲバのアニマル泉のレビュー・感想・評価

処女ゲバゲバ(1969年製作の映画)
4.5
若松孝二が「荒野」の主題を鮮明にした、脚本の大和屋竺の色合いが濃厚な挑戦作。荒野と十字架だけで作ってしまう力量に感服する。冒頭、坂道を下る2台の車を横からワンカットで捉えたロングショットが素晴らしい。「荒野」「殺し屋」「組織vs個人」「狙撃」「ブルース」大和屋印が満載だ。十字架に磔刑にされた花子(芦川絵里)に下から語りかける星(谷川俊之)の高低差の切返しが面白い。懺悔しているかのようだ。磔刑の花子と下から懺悔する谷、その後ろを囲む殺し屋たちを横から捉えたロングショットが素晴らしい。
「組織vs個人」「ボスは誰だ?」「スナイパー」「誤って女を狙撃する」「星のシッポのブルース」などの主題は鈴木清順の「殺しの烙印」と双生児のようだ。ラスト、燃える十字架の向こうに花子を担いで去る星、あちこちに火が上がっているショットは若松らしい。若松は「走る」映画だ。
荒野を花子が全裸で走る、星がスリップ姿で走る。
本作はズームが多い。ボスが木俣堯喬、手下が大和屋竺、チンピラに小水ガイラ。白黒シネスコ・パートカラー。
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