グラッデン

パトリオット・デイのグラッデンのレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
4.3
ボストンマラソンで発生した爆破事件を描いた実話に基づく物語。

鑑賞を終えて、本作のテーマはタイトルに集約されていると感じました。爆破事件という大きな絶望を経験したボストンという街の物語であると同時に、この国に根付くスピリッツを強く印象付けられました。

犯人逮捕に執念を燃やす捜査官や地元警察官に留まらず、爆破事件で負傷した多くの人々が遭遇した絶望から立ち上がる姿を細かに描くことで、事件がこの街に暮らす人々に広く影響したことを伝えていたと思います。

それだけに、作品中の台詞ではなく、本編で紹介された当事者たちが語った言葉には心を揺さぶられました。絶望を希望に変えようとする強さには驚かされます。

一方、作中における善悪を如実に出していたことからも、鑑賞する中で「正義」という言葉を振りかざしたらアウトだなと感じる危うさはあったと思います。
ただし、それ以外の言葉で語ったこと、捜査におけるアレコレの中に美談にはさせない理不尽やポイントも描いた点は良かったと思います。

所謂「USA」コールが脳内で連呼しかねないテイストの作りではありますが、ある種の英雄譚に落とし込むのではなく、悲劇を経験した街の人々たちが、どのように向き合ったのかを描こうとするバランス感覚は非常に良かったです。