NicoJay

化身のNicoJayのネタバレレビュー・内容・結末

化身(1986年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

1986年10月公開。

荒磯に波の東映オープニング映像が終わるやいなや、乳首が透けるネグリジェ姿で登場し観る者の度肝を抜いたあと、藤竜也と大胆に絡む阿木燿子。
実生活では1971年に宇崎竜童と結婚。おしどり夫婦として知られるとともに超が付く売れっ子作詞家だった彼女が、なぜ濡れ場など演じたのかじつに不思議です。
そういうことでは、深い仲にあった女優・黒木瞳をこの作品に出演させた原作者も妙なもの。人に見せたいかね。

物語は、前半ダイジェストのように足早に進むので八島霧子(演:黒木瞳)の人物像がつかめませんけれど、そこはあまり重要でないと最後まで観るとわかります。
主役はあくまで文芸評論家の秋葉大三郎(演:藤竜也)で、彼がクラブホステス霧子に入れ込み身請け。マンションと車を買い与え、服飾のリサイクルショップを持たせるなどするうち金が底をついて出版社に借金。挙句の果ては母に隠れて父親が遺した不動産に手をつけます。
しかし秋葉をしゃぶり尽くした霧子は、店を自分に続けさせるよう頼んで彼のもとを去っていく。ふてぶてしい女です。
それ以前に店の仕入れだか何だかで単身ニューヨークへ渡った際、秋葉が現地の案内役として紹介した商社マンと寝ていたことも判明します。
ここまでくると、クラブホステスになる前は千葉県君津市のスーパーで働いていたと秋葉に語った身の上話も怪しいもの。
阿木燿子演じる雑誌編集者の田部史子から秋葉はとうに見限られており、水商売女に入れ込んだ中年男の末路を描いた教訓のような作品でした。

なお、1985年9月に宝塚歌劇団を退団した黒木瞳がおよそ1年後にこの作品で全裸を披露。と話題になったようですけど、当時アラフォーだった阿木燿子の妖艶さの前では霞んでしまっていた気がします。
屋形船のシーンは中々でしたけれども。
NicoJay

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