ベビーパウダー山崎

化身のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

化身(1986年製作の映画)
3.0
東陽一と渡辺淳一なら最強の文芸エロスが生まれそうだが、思ったより波立たなない凡庸なドラマで終わっている。すました顔して下半身は丸出しの渡辺淳一的な世界は全開だが、東陽一が得意としている日常が簡単に瓦解して剥き出しになる人間の気持ち悪さはそこまで突き詰められていない。結果として極めて大衆的で空虚(バブリー)な80年代日本映画の枠におさまっているのでそれなりにヒットしたんだろうけど、藤竜也を津川雅彦にしてもっと飄々と軽薄に、黒木瞳側の視点で押し切る東陽一ならではの異常な「映画」にして複雑な気持ちにさせてほしかった。シースルーエレベーターに乗っている黒木瞳と阿木燿子から街中の女性を眺めていく藤竜也、男と女がいて夜の都会で終わる流れは嫌いじゃない。