ひれんじゃく

ハンナ・アーレントのひれんじゃくのレビュー・感想・評価

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)
4.0
あまりの伝わらなさにもどかしさを感じた。ナチスに協力したユダヤ人がいたっていう例の話は、ユダヤ人全体を批判したいというよりは「そういう人たちもいました、でもその人たちは何かそれ以外の行動は取れなかったのでしょうか?」と言いたいのであってですね………決してアイヒマンを擁護したいわけではないのになんでこんな……ともだもだしたしヨナスもそこらへん分かってやれよ…なんて伝わらないんだ………とこっちまで悲しくなった。ユダヤ人がナチスドイツに迫害されたのは紛れもない事実だけど、異常な状況下で同胞殺しを黙認・加担せざるを得なかった人たちもいたのが現実なわけで。第三者からするとあの過剰なまでの反応はそこから目を背けているのでは?とも見えてしまった。怒る気持ちはわかるけども。

階段をどたどた駆け上がってくるハイデガーが割とキモかったしおま…こんなことを……というお気持ちになった。にしてもなんでナチに賛同したんだろうなあ。学ぶとは何かを探究しようとした人がなぜ。

アイヒマンに俳優を当てずに実際の映像と音声のみの出演にしてたところにこだわりを感じた。マジで自分の犯した罪の大きさに気づいてないというか、あくまで「上から言われたんで…」としか考えてないんだなと実感できた。糾弾されるたびに「いやだから…上からそうしろと言われたって言ってるじゃないですか何度も…」って顔をしてるのが本当にやばかった。これが思考停止の成れの果てか。
ひれんじゃく

ひれんじゃく