ryosuke

赫い髪の女のryosukeのレビュー・感想・評価

赫い髪の女(1979年製作の映画)
3.8
オープニング、ただ女が歩いて来て振り向くだけの瞬間が切れ味抜群の描写になっており、期待が高まる。
正直、本作は現在の視点で見ると、レイプ神話としか言いようのない展開もあるし、暴力的な獣のようなドカタ二人のミソジニーも酷すぎるのは否めない。神代作品はある程度時代だしなと割り切って見るしかないかな。
清涼剤のように差し込まれる雨や海のショット、とにかく水のイメージが印象的。水が登場人物の不浄を洗い流し...きれはしないが、これらの描写を始めとして基本画面は強いし、タイトル通り差し色的に用いられる赤も美しい。「愛のコリーダ」ばりに濡れ場ばかりの家の中のシーンはむしろちょっとダレる。
しかし、まともなモザイクが無い時代の黒く塗りつぶすぼかしはデカすぎて困るな。
「青春の蹉跌」「アフリカの光」でも感じたのだが、今回のトラックコンビの身体接触もかなり激しい。神代は強烈に男女の関係を描きつつも、男性同性愛の要素も紛れこませているのだろうか。
とにかくインパクトのあるアイデアが連続するのは素直に楽しい。延々母乳を出そうとする亜湖、泡まみれでトドのようにのたうち回るおばさん、パンツを部屋から落としたら何故かブチ切れた異常者が部屋に来て襲いかかってくるシーン、三輪車と「優しくして」のクロスカッティング、やたら手に唾を吐く女と悔しがる父親、その上に放出される吐瀉物…等々。
口紅によって反復される「アレが赤くなってる」のエピソード、純粋に幸せだった頃の一回目と何かが変わっているのかいないのか。二人の女は結局全然交わらない。凄い作りだな。
常に屋外で登場人物を取り囲み、あるいは彼らに浴びせられてきた雨、水のイメージは、ラストに至ってついに室内に侵入する。
ryosuke

ryosuke