三樹夫

新しき世界の三樹夫のレビュー・感想・評価

新しき世界(2013年製作の映画)
3.9
悪い悪い奴が出てくる潜入捜査ものの韓国映画。何年もヤクザ組織に潜入している主人公。もうこれ以上耐えられないと上司に訴えたら、お前が元警官ってことヤクザに情報流しちゃおっかな~と極悪なことを言ってきた。警察が公のヤクザ組織みたいになっていて、劇中一番の悪っぷりを叩きつけてくる。かといってヤクザ組織も大概で、自分の兄貴は嫌な人の絡み方するバイオレンス兄貴で、人の絡み方がバイオレンスというタイプ。会長がおそらく暗殺されたことで跡目争いが起き、冷血オシャレ七三と兄貴のバトルが勃発し、しかも警察がコントロールしやすい奴を会長に据えれば俺たちやりやすくなるじゃんと、主人公の身をこれでもかと危険にさらして裏工作し跡目争いを煽ってくる面白い面白いノワール作品。

悪い奴しか出てこないがそんな奴の中にも人間性があり、完全な極悪非道でないのが渋みを増す。心を殺して非情になるしかないという無常な世の中で疲弊するのが感傷的な余韻を残す。
おそらく『インファナル・アフェア』を意識しており冷血オシャレ七三がゴルフをしているシーンは、この映画は『インファナル・アフェア』を参考にしてますよという目配せだろう。しかし最終的に『ゴッドファーザー』みたいになるという、重厚感の漂う作り方をしている。とにかく皆んなやたら死ぬ時の往生際が良い。
会長はおそらく暗殺されたが、誰が暗殺したかはハッキリとしない。会長の暗殺があることで、会長になったとしてもそれってあまり喜ばしくなくないかと思うため、観終わっても眉間にシワを寄せてハードボイルドな顔をキメることになる。
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