熊犬

トランス・ワールドの熊犬のレビュー・感想・評価

トランス・ワールド(2011年製作の映画)
3.4
【よくある感じに、アイディアが光るひと捻りをちょいと】

原題 : Enter Nowhere

車の故障で立ち往生している中、森の中に迷い込んでしまったサマンサ。同じく森に迷い込んだ男と女と出会い、何故か三人とも森から脱出できない事態に陥っている事に気づく。三人で寒さと飢えを凌ぎつつ助けを待っている中、ふとした会話から三人が三人とも自分が認識している"迷い込んだ森の場所"と"生きている時代"が全く違う事に気づく。そしてこの不思議な森に、戦時中のドイツ兵が一人迷い込んでくる…
…な映画。

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ショートフィルムくらいのプロットを、一本の長編にした感じの映画。

アイディアは面白い。時間系の超常現象というよりも、超常存在の様な趣があり、人間を試している様でもあり、なんだか底辺のラストチャンスのような感じでもある。ただ、いかんせんこの面白いアイディアを、どうにか長く延ばして見せてるという印象は否めない。ショートフィルムとして、時間を半分とかにしたらもっと良かったかも。まあでも、それでも最後まで面白く観れて、うまいこと作られてる。会話や小物類から、徐々に全員が置かれているおかしな状況が分かってくる作りとか。

全編通して小さな伏線があり、改めて観ると尚おもしろかったりする。とても上手にプロットされてるな~、小物も会話も。

超低予算映画との事で、製作費数千万レベルらしい。その分カメラ映りはやはり安く、CGも見れたものではない。でもしっかり面白いし、低予算でもアイディアでここまで面白くできるという好事例だと思う。邦画も海外に比べて映画製作にお金掛けられないんだし、変な大作ものを作るよりも、こういうストーリーで魅せる映画をどんどん作って欲しいな~。

本筋とは関係ないですが、トム役の方はクリント・イーストウッドの息子さんらしいですね。だからどうって訳でも無いですが、こんなに低予算映画に出るんだなと。親(親戚)の七光りは嫌う、唯一神ことニコラス・ケイジと同じ感じですかね。

■本日のビール『One』
醸造所:Revo Brewing (日本 / 神奈川)
横浜のApaホテルの下に醸造所を持つレボブルーイング。彼らが作る、コストを抑えつつもクラフトビールにどっぷりな人からニューカマーまで幅広く受け入れられる事をコンセプトに作られたビール。
コスパ最高、クラフトビールとしては破格の値段ながらしっかり美味い!
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