淡々として掴み所のないストーリーの中で垣間見える小さな気づきや芽生えを積み上げていくような実に繊細な物語。
幼少期は自由を謳歌していた彼女が閉鎖的な現状に順応するには理屈をこね回し、自身の内面に持つ"曖昧さ"との折り合いを付けて役に徹する他なかったのではなかろうか…。
こんなことを言っていると他の登場人物たちに「君は考えすぎだ。」と言われてしまいそうですが。笑
故に本作でのテレーズは原作の大筋はなぞりながらも、より現代的な再解釈がなされた人物像なのではないかと思います。
正直、最初は可愛らしいイメージのオドレイ・トトゥはこの役には合わないんじゃないか?と思っていましたが、ラストである種の自由を手に入れ、微笑む姿に"本当の自分を見つけた"という意味でも『アメリ』の時のイメージが重なるような印象的な最後だったように思います。
仮初めの姿ではなく、本来の姿こそが魅力的。
故に夫も最後の最後にためらいを見せたのではないか?
というように無理くりハッピーエンド解釈をしたので、個人的には本作を楽しむことができました!笑
ただ、本作の大半が「苦手な人の方が多いんじゃないか?」というぐらいの暗さなので人にはオススメしづらい作品です。