湿疹

月の寵児たちの湿疹のレビュー・感想・評価

月の寵児たち(1985年製作の映画)
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イオセリアーニらしい佳作。物を契機にした法則のないバトンタッチの連なり。たまたまなにかのモノの所有者になった誰かさんが誰かさんとある通りでしかじかについて話している。なにかが起こりどこかへ消えていく二人。カメラはそれを追わず、その通りの肉屋でたまたま切られている肉の断面に視線を向ける。こんなに力点のない映画があるだろうか。いくら人間心理中心的なナラティブを解体しようとしてもこれは狙ってできるものではない。古くから伝わる皿や絵のようなモノにとって、交換可能なのは使い手たる人間のほうなのかもしれない。
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