湯っ子

昼顔の湯っ子のレビュー・感想・評価

昼顔(1967年製作の映画)
3.6
映画は今まで観たことなかったけど、若い頃、ドヌーブの白襟ワンピースは雑誌や本で見かけて憧れてました。安物の黒ワンピースに白襟をつけて気分だけ真似っこしたこともありましたっけ…

とにかくドヌーブが美しく気品高く、どの衣装も素敵。イヴ・サンローランを着ているのはドヌーブだけなのかしら。娼館の女主人もカッコよくて、仕事仲間のガールズたちは適度に品がなくサバけてる。
抑圧された願望がどうこうのっていう話のわりに、作り手は彼女たちの感情とか思いとかにはあんまり興味がなさそう。絵的に映えるシーンを撮りたかったのかな。純白ワンピースのドヌーブの顔面に泥だか糞だかぶちまけるとか、脈絡ない百合シーンとか。夢オチって、当時は斬新でセンセーショナルだったんでしょうか。

あの若いチンピラ。もうね、長い棒をいつも振り回してるのからして嫌でしょうがない。本当の心は弱いのに虚勢をはって、常にまわりを威嚇してるような奴大嫌い。でも、彼がなぜそうなったかには理由がありそう。銀歯がズラリと並んだ前歯や、穴の空いた靴下がそれを暗示してる。で、あっけなく死んじゃう。ブニュエル作品は「ブルジョワジーの密かな愉しみ」しか観てないけど、ブルジョア批判が作家性らしいこの監督が、このチンピラに一番肩入れしてる気がするのは私だけかな。
湯っ子

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