マヒロ

昼顔のマヒロのレビュー・感想・評価

昼顔(1967年製作の映画)
3.5
ルックス良し・性格良し・お金持ちの夫を持ちながら、夜の生活に満足出来ないことから悶々とする妻(カトリーヌ・ドヌーヴ)がひょんなことから娼婦の仕事に出会い…というお話。

なんだかお耽美な香りのするあらすじだけど、直接的にエロティックな描写が出てくることはなくて、むしろジャンル分けするなら「前衛コメディ」とでも例えられるような不思議な映画だった。

主人公はムラムラが行き着くところまで行ってしまったからなのかしょっちゅう妄想をしていて、しかもそれが劇中シームレスに映像として現れるので徐々に現実と虚構の境目が朧げになっていく。
娼館にて働くことになった彼女が出会う男性達もクセのある人ばかりで、彼らが要求してくるトンデモプレイもなかなかにシュール。性に溺れていくといういかにもヘビーな題材を徹底的にシニカルな目線で滑稽に描いているというのが面白い。そもそも性を抑圧されおかしくなっていくカトリーヌ・ドヌーヴという設定自体が『反撥』のパロディみたいなもので、そこからして既にヒネリがあるのかも。

因果応報…というにはいき過ぎているような気がする恐ろしい顛末に、いびつにねじれた円環構造となったラストと、不気味な余韻を残す締めもなかなか良かった。

(2016.133)
マヒロ

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