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昼顔のmarikabraunのレビュー・感想・評価

昼顔(1967年製作の映画)
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彼女が娼婦の世界に身を投じたのは「不感症が治れば君は完璧」という夫の言葉にあるように、性生活が欠落した夫婦生活は完璧でないとされる社会や愛する夫に対する罪悪感、性的な劣等感からだと感じた。多かれ少なかれ誰もが抱えた色とりどりの性癖を解放できる、靴下の穴から覗いたような世界に強制的に身を置くことで性の悦びを覚え、幼少期のトラウマや恐怖を解消し、結果的に夫への愛が深まるというのは大胆なセルフセラピーとも自傷行為とも取れる。鈴の音を携えた馬車を合図に彼女は夢を見ていて、罪悪感と折り合いをつける様に被虐的なそれは悪夢か願望か、境界線がぼやけてくる描写は好み。ラストの笑顔でようやく彼女は本当の意味で解放された様に見えた。

話は逸れるけど、女性の性欲は当然肯定されるべきだし、個人的にはあらゆる性的嗜好において異常か正常かという判断は下らないものだと感じる。恥も外聞もなく愛する人と性を解放し合ってこそ至高だと思うのだけど、実際はパートナーには隠すべきものとして他の場所で発散させる人が少なくないのが不思議…
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