ガンビー教授

昼顔のガンビー教授のレビュー・感想・評価

昼顔(1967年製作の映画)
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カトリーヌ・ドヌーヴには呆然とするほど惹きつけられる。性的行為の意味も知らないようなあどけない態度で羞じらってみせながら同時に匂い立つ色気を隠しきれない娼婦、みたいな矛盾を体現している。差別的な表現と受け取られかねないことを怖れずに言えば、それは女優という存在の本質かもしれないとすら錯覚されてくるほど。

そういう目で見ると、彼女にあれやこれや「ごっこ」のような性的遊戯を要求する男たちが女優の肉体を搾取する映画監督、観客のメタファーにも見えてくる。この辺の描写は艶笑という言葉がぴったりで、よく笑える。僕がいちばん笑ったのは棺がガタガタゆれ始めたところ。

予告なく挿入される夢のシーンが印象的。人間がいきなり通常の範疇から外れて妙な行動を取り始める清々しさは、抑圧された性が解放される心地良さと相性がいいのかな、とか思う。

全編にわたって、人間の奇妙な生態を覗き見るというような不謹慎な快楽がある。

脱ぎ捨てられた衣服だけを映したり、脚の動きだけをアップで映す、みたいな「みなまで言わすな」的ショットがところどころ記憶に残る。

それにしても、何という恐ろしい終わり方をするんだよ、と驚く。画面に「FIN」という文字が映し出されて消えてからの変な間も、心地よく気持ち悪い。
ガンビー教授

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