エディ

昼顔のエディのレビュー・感想・評価

昼顔(1967年製作の映画)
3.9
不感症の女性が、夫のいない昼に娼婦として働き、不感症が治るに連れてうちに夫への愛を日々感じるようになってくるが、結局夫との愛に満ちた日々は来ないという皮肉と妄想に満ちた映画。昨年話題になった同名のテレビ番組の元ネタだが、この映画の昼顔は不倫ではなく昼間の売春婦。シュールレアリズム監督ルイスブニュエルの作品らしく、単なる遊びで売春をしているのではなくもっと深いメッセージがある。
セブリーヌとピエールは仲が良い夫婦だったが、セブリーヌは幼少に受けた性的虐待がトラウマになって不感症であった。しかし、情念だけは渦巻いていて、いやらしい妄想を頻繁に見ている。
そんなある日、毛嫌いしていた夫の友人から娼館の場所を聞いたセブリーヌは、娼婦がきっかけで不感症が治るかもしれないと考えたのと、妄想の実現のために、昼だけ娼婦として勤める「昼顔」のような生活を始める。はじめは嫌がっていたセブリーヌだったが徐々に不感症が治るのを実感していく。それに連れて夫への愛も増していくのだが、娼館の存在を教えてくれた毛嫌いする友人に正体を暴露されることに怯える一方で、殺人歴のあるチンピラ客に好かれてしまったことから執拗に付きまとわれるようになる。。。

この映画はストーリーは判りやすいが、込められたメッセージはいろいろありそうだ。不感症が治ったら夫が不感症みたいになったという皮肉や、嫌っていた人物が言うようにセブリーヌの魅力は昼顔とは対極の世界にあったということかもしれない。
娼婦が主人公だが、エロいシーンはほとんどなく、セブリーヌの妄想と生活が夢かうつつか判らないような中で描き出される。過去のトラウマのせいでリアルとは全く異なる夢想の世界を持ってで生きてきたセブリーヌが、夢想を現実にできると思ったら、再び夢想の世界で生きる姿は、夢と現実の境界線が曖昧な世界を感じる。誰もが経験ある、人に言えない恥ずかしい妄想を的確に描いた映画だと思う。
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