真っ黒こげ太郎

ファイナル・デッドコール 暗闇にベルが鳴るの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

4.5
メぇぇぇ~~リぃぃぃぃクリっスマぁぁぁーーースぅ!!!!!!

ひゃぁーーはっはっはっはっはぁーーーっ!!!!

「メリークリスマス!クソ野郎!」

…すまん、これで最後だから堪忍して。




とある女子寮で行われる賑やかなクリスマスパーティ。
だが一人が皆から外れてSNSをしてると、何者かがその女子の顔にビニールを被せて…。

パーティの中でかつてこの家だった女子寮にいた殺人鬼、ビリーの話題になる。
生まれつき肌が黄色い少年ビリーは母親の虐待を受け、その母と不倫相手に最愛の父親が殺されてしまったのを目撃してしまい、バレて屋根裏に逃げた所を監禁され…。

そんな話の最中、女子寮に「俺の家から出ていけぇ…!」という謎の電話が掛かってくる。
一部の女子が嫌気がさして実家に帰ろうとするが、殆どの女子は相手にしなかった。だがその電話は寮の女子の携帯から来ていたのだ。
そしてその後もヤバい電話がかかってきて皆が徐々に気味悪がってゆく中、女子数名が次々行方不明になったり、家が停電になったり、古い新聞の切り抜きや怪しいプレゼントが出てきたりと謎の現象が立て続けに起こる。

皆が消えた女子を探してすったもんだする中、消えていた女子の死体が発見される!!!!
クリスマスに家族を皆殺しにした殺人鬼、ビリーが戻ってきたのだ!!!




クリスマスの女子寮を舞台に、狂気の殺人鬼による猟奇殺人事件が巻き起こるスラッシャー・ホラー。

1974年に制作された、「暗闇にベルが鳴る」のリメイク作品。
今作はオリジナル版の監督であるボブ・クラークさんが制作に携わっているらしい。

制作陣も関わっている正当なリメイクだが、こんな某シリーズ風なパチモンタイトルになってしまったのは、恐らく監督や出演者が某シリーズに関わっていて、オリジナル版よりそっちのシリーズの方が世間一般には有名だったからこうなってしまったのであろう。
…まあ俺もスプラッターホラーを本腰入れて見るまでオリジナル版の作品知らなかったけどな!!!wwwwwwwww
(最後の最後でとんでもない爆弾発言。)


そんなこんなで2019年版のリメイクである「ブラック・クリスマス」に次いで見たのだが、好き勝手アレンジされまくりだったあちらに比べて、こちらの方はかなりオリジナルに忠実な内容になっている。

ただし、こちらは殺人鬼の設定が掘り下げられたり、殺人鬼がどうして女子寮に執着しているかの説明が行われている。
ついでに残酷描写をちゃんと見せてくれる。やったやった!!!wwww


前半は女子がワチャワチャする中でオリジナルでは謎だった殺人鬼の生い立ちが過去話として描かれる。
後半では怪しい事件と殺人事件巻き起こり、殺人鬼が帰ってきたことが明らかになった事で、逃げ場のない女子寮で狂気の殺人鬼とすったもんだするという、ある意味お馴染みな展開に。w

今作、オリジナルで感じた不気味さや不穏な気配は鳴りを潜めてしまったが、その分残酷な殺害シーンや殺人鬼相手の攻防など、真っ当なスラッシャーホラーとして描かれている。
オリジナル版愛好家からしたら物足りないだろうが、そもそも元の作品がスラッシャー映画の元になった記念作なのだから、こうやって正統派なタイプのスラッシャー物に仕上げたのはリメイクとしては正しい選択だったのだろう。
(そもそも、2019年版が滅茶苦茶に改変しすぎたというのもあるが。w)


今回、前半部分で長い尺を使っているだけあって、過去作で明かされなかった殺人鬼のアレコレが明確に描かれている。
そしてその殺人鬼の過去がかなり悲惨。ネタバレ防止の為に詳しくは言わんがそりゃ狂ってしまう訳だわ…。
(ロブ・ゾンビ監督版の「ハロウィン」を彷彿とさせる設定だが、こっちの方がもっと悲惨。)

んで後半は女子グループが殺人鬼に襲われすったもんだする親の顔以上に見た展開に。
(もっと親の顔見ろ。w)
殺人鬼のしっかりした正体が明かされたり、クライマックスのに殺人鬼との攻防が描かれる展開は個人的にはとっつき易くて良かったです。w
クライマックスの攻防を舞台を変えて間延びさせていたのはどうかと思いましたが、最後の戦いはそれなりに見入りました。
(最後の最後でナイスなゴア描写が拝めるし。w)


また、今作は2019年版と違ってちゃんと残酷描写を見せてくれるのが素晴らしい。
血糊だけで見せない場面も多かったし、若干メイクはチープでスラッシャー物としては中位なレベルですが、目玉を引きずり出したり、人の皮をクッキー型でくり抜いて焼いて食ったり、頭をスライスされ脳味噌が流れ出たりと、キチンと残酷描写を特殊メイク使って描いてたのは断然2019年版より評価できます。
ラストシーンでは内臓も出ますぜ!!!w
(チョロッとだけどw)


ただ、今作はイチスラッシャー物としてはやや粗い所も見受けられた。
前半、殺人鬼の過去話並行して女子のアレコレが描かれてたけど、女子側のキャラが弱い上に名前覚える前にコロコロされて退場してゆくから、殺される側にあんまり感情移入できないのは悩み所。
その所為で、前半部分は殺人鬼の過去話以外はやや退屈だったかも。

屋敷内の攻防にしても、外が大吹雪で警察が来れないという理由付けは良かったが、せめて寮の外から出て逃げろよとは思った。w

グロ描写も色々見せてくれたのは良かったけど、殺人鬼の設定として機能していた目玉に関してのグロシーンを見せてくれなかったのはやや惜しい。そこは大事な所だろうに。

後、今作は2019年版より予算が無かったのか、全体的に低予算感が否めなかったですね。
ジェイソン・ブラムさんがこっちの制作に携わってくれれば…。



そんなこんなでオリジナル版より微妙になってる場面もありましたが、オリジナル版の謎を解明しつつ、ちゃんと現代的なスラッシャー物として見せてくれたので、リメイク作としては十分楽しめる一作でした。

二度目のリメイク作が結構アレだったんで、どうなるかと思ったがこちらは真っ当にスラッシャー映画として楽しめたので良かったです。
オリジナル版と見比べてみるのも一興ですし、純粋なスラッシャーホラーとして見るのも良いかと。


取り合えず2019年版の監督は、いろんな意味で今作を見習うべきである。
という訳で「暗闇にベルが鳴る」を詳しく知りたいという人は今作とオリジナル版を見ましょう!!!w
2019年版は名前だけ冠した別物だ!!!w