シズヲ

ヘラクレスのシズヲのレビュー・感想・評価

ヘラクレス(1957年製作の映画)
3.3
マッチョ俳優が演じるイタリア製の神話・史劇アクション映画、通称“ソード&サンダル”。本作は1950年代後半~60年代前半に渡ってジャンルの火付け役になったパイオニア的作品だ。主演であるスティーブ・リーヴスはスタローン、シュワルツェネッガー、ロック様など、後のマッチョ系スター達にも多大な影響を与えているので凄い。ボディビルダーとして鍛え上げた筋肉美と男前な顔立ちは実際なかなか格好良い。ヒロインを演じるシルヴァ・コシナの美貌と健康的な色気にもグッと来る。

神話をベースに簡素化しつつ、ぶつ切りの編集でサクサク進んでいくような内容。50年代後半の娯楽映画なので今となってはちゃちい部分も多いが、武術の競技や猛獣との格闘、嵐の中での航海やアマゾネス美女軍団など、当時基準で見れば気前よく娯楽スペクタクル要素を詰め込んでいる。ゴジラめいた怪獣まで出てきたのは笑った。その後のソード&サンダルは基本的に低予算らしいが、本作は寧ろ金かけて撮ってるような気さえしてくる。アマゾネスの下りはヘラクレスが活躍しない上に中弛み感が否めないが、“そろそろ美女たくさん出して観客を楽しませとこう”と言わんばかりに引っ張るのでフフってなる。

スティーブ・リーヴスの端正なマッチョぶりや観客に向けたサービス精神も含めて、何だかんだで憎めない味がある作品。しかしソード&サンダルと地続きでその後のイタリア映画界にてブームとなるのが“マカロニ・ウエスタン”なので何だか興味深い。
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