OASIS

ラブ・クライム 偽りの愛に溺れてのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

2.9

このレビューはネタバレを含みます

フランスの一流企業で働く女性同士の争いを描いた「セリ・ノワール」等のアラン・コルノー監督の遺作。

出世競争、恋人の奪い合い等女の争いが醜くも気持ちよくて面白いが、どこか既視感が漂う。
それもそのはずで、ブライアン・デ・パルマ監督の「パッション」は今作のリメイクである。
リメイクするだけあって話の面白さは保証付きであるが、演出面ではデ・パルマ版の方がキレが良くてサスペンフルに仕上がっている印象で、こちらはやや淡々としているのがサスペンスとしては物足りなさを感じてしまった。

美しい女性社員イザベルは、自分に厳しくあたる上司クリスティーヌに反感を覚えていた。
そんな矢先、出張先でクリスティーヌの恋人と関係を持ってしまい...。
クリスティーヌがイザベラの手柄を横取りしたり、大勢の前で恥ずかしい映像を見せて馬鹿にしたりと陰湿なイジメ攻撃をすれば、イザベラもそれに負けじと反撃して見せる。
可愛らしくて小悪魔的な美貌のイザベラだが、いざ反撃となると用意周到に準備を重ねアリバイ工作もバッチリな状態で挑むという完璧主義な面が怒らせたら怖い女性の強かさを感じさせる。

完璧なトリックを用いてクリスティーヌを殺害したイザベラだったが、あえなく警察に捕まってしまう。
このままおとなしく有罪のまま進むかと思いきや一転、証言を撤回し無実を訴えるという逆転劇から事態は加速する。
イザベラが周辺の人達の証言を操り、アリバイを作り上げ、自分の思うように事件を動かして行く様は淡々としていながらも面白く、一度決めたらとことんにまでやり抜く女性の怖さを思い知る。

ただ、デ・パルマ版の超尺スプリット・スクリーンによる演出や爆音BGMによる過剰な盛り上げなど、映画的な面白さを感じる場面が無いのが残念であった。
これでもかと盛りに盛った女同士の昼ドラさながらのドロドロした愛憎劇というよりかは、静かに陰湿に、そして着実に責めて行くといった趣である。
どちらが好みかにもよるが、キャスト面でも演出面でも「パッション」に軍配があがる。
OASIS

OASIS