青山

ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界の青山のレビュー・感想・評価

3.8

60年代冷戦下のロンドンで、いつも一緒にいる幼馴染のジンジャーとローザの青春模様を描いたドラマ。

青春模様って言ったけど恋と友情とスポーツと......みたいな爽やか系ではなく、世界の終わりへの不安、家庭の悩み、お互いの関係性の変化などを淡々と暗めのトーンで描いたヒリヒリする系のやつ。

当然ながらエル・ファニング目当てで観たのですが、やっぱり天使です。
すっぴんみたいな顔でもこの世のものとは思えぬ美しさ。終盤の、感情を爆発させる場面は貰い泣きしちゃいました。儚さという名の存在感。

絶望的な蕈雲と冷戦下の空気感と彼女の置かれた境遇が"世界の終わり"というワードに重ね合わされるのが切ない。
足元が崩れ落ちていくような怖さは、元々鈍感な上におっさんになった私には共感は出来ないけれど、昔のことを思い出して懐かしい感傷に浸るくらいには分かりみがあります。

最後、思ったよりも重たくて、でも強さを感じる終わり方は、重厚で小さな余韻を残します。いやぁ、俺だったら「てめえらぶっ殺してやるううぅぅ!!」ってなる気がする。その点ジンジャーは大人で、ここにきてジンジャーとローザの印象が反転して霧が晴れるように本当のことが見えて来る構成が上手いよなぁ。霧が晴れる時に見えるのが晴天とは限らないけれど。
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