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ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界のodyssのレビュー・感想・評価

2.5
【中途半端はダメよ】

1960年代英国の反核運動を描いている・・・ように見えるのですが、実際はヒロイン2人、特にエル・ファニング演じる少女の思春期のもやもやを描いた映画でしょう。

この映画でポイントになるのは、彼女の父親(アレッサンドロ・ニヴォラ)です。ハンサムだし、娘に甘い。妻が娘をしつけるのにがんばっているのに、彼のほうは本気で親をやっているという感じがしない。どこか永遠の青年といった趣きがある。そして女を作ってしまう。しかも・・・・

この、まあ男としてはこうありたいという気がしないでもない(笑)お父さんが、他方では反核運動なんかもやっているところがミソ。この映画では、反核運動は時代を映し出す鏡ですが、それは単に当時の社会的な意識を反映しているというだけではなく、戦前の伝統的な家族規範が崩壊しつつあることをも反映しているのです。家族の崩壊と反核運動は、実はパラレルなんですね。

ですから、そういうタイプの人間ということで見れば、このお父さんはよく描けていると思う。だけど、肝心のエル・ファニング演じる少女のほうはどうでしょうか。イマイチじゃないか、と私は感じました。思春期のもやもやはそれなりに伝わってくるけど、でも反核運動にしても、母親への反発にしても、もっと本気にならないといけないんじゃないか。どっちつかずで、中途半端なんです。まあ、そういうのも思春期らしいのではありましょうが、映画としては中途半端はダメよ、と言いたくなっちゃう。

なお、エル・ファニングのお母さんを演じるクリスティーナ・ヘンドリックス、美人ですねえ。ほれぼれしちゃう。こんな美人妻がいるのに、どうしてお父さんは浮気するのかなあ。美人妻はもっとたいせつにしましょう(笑)。
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