オヂサン

ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界のオヂサンのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

赤毛が美しいジンジャーの透き通るような青い瞳。最後まで吸い込まれて惹きつけられます。対照的に漆黒のような黒い髪のローザも、艶めかしくて美しくて目を奪われる。

静かで、音楽に合わせて物語が進んでいくような、音がとても印象的な映画。








すみません、以下はかなり感情的な感想です。

都合のいい言い回しや言葉で飾り付けて、自由は正義であるかのように話すローランド。彼はあくまでも"自分が動きやすくて何をしても許されるような世界が理想"というのが根本にあるように感じられた。自分がしたいからそれらを周りに咎める事はしないし、周りにも同じ自由を求めるというような。

ジンジャーは法的に触れることはしたとしても、モラルに反するような、父親や大切な人を粗末に扱うような子ではなかった。幼い彼女が何も言えずにただ言葉を押し殺して詩に書き記し、一人で抱え込むにはあまりにも重くて壊れてしまうんではないかというくらい痛々しい現実だった。

この映画は最初から最後まで違和感を感じる。ローランドとローザ、この2人は決して、一度たりともジンジャーを気にかける事はなかった。ジンジャーの為に行動する事も、本当の意味でジンジャーを見て話す事もなかった。責められて「ジンジャーは娘じゃない」と実の親に牙を剥かれたジンジャーは、決して悪い事はしていない。

一番理解してくれていて、悲しい事がある時は抱きしめてくれて近くにいてくれたはずの2人だったのに。そんな一視聴者の想いもきっと、この2人にはおこがましい希望になってしまうのかもしれない。この2人はあまりにも幼稚で自分の言動に責任を持てないので、あたかも「周りが悪い、自分達は悪くない。環境がそうさせるから仕方ない。普通に合わないんだ」と環境を理由にし、相手が悪いと思い込ませて、捩じ伏せて逃げてしまう。

すまない、許してくれ。お母さんが死にかけなければ、2人とも最後までそう感じていなかったはずだ。その言葉だけで行われた事が0に戻るわけではないはずなのに。
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