凛太郎は元柚彦

ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界の凛太郎は元柚彦のレビュー・感想・評価

3.0
舞台は冷戦下のロンドン。ジンジャーとローザは物心ついた頃からどんな時間も一緒に過ごしてきた幼馴染で、二人は学校をサボっては反核運動の集会に参加する青春時代を送っていた。しかし、ローザはジンジャーの父親に恋してしまい日常は徐々に変容し始める…。
よく脚本が練られた胸糞な青春映画だった。
ジンジャーは、核戦争のニュースを聞きつけては"世界の終わり"だと嘆きながらも、自分は活動家でありたいと大人びた意見を持つ無垢で多感な少女だ。しかし、この映画を見てると次第に彼女が直面して苦しんでいる"世界の終わり"の正体が実は核戦争なんかではなく、違うところにあることがわかる。
大人になるということは、自分が生きる世界がどんなに荒んだ場所であっても、全てを受け入れて前に進んでいかなきゃならないということだ。それは彼女がラストシーンで自分の詩に書いた"許す"という意味にも繋がってくる。
とにかく父親はクソみたいな毒親だし、監督の手腕に乗せられ共感しちゃった自分もクソだなって悲しくなる。
60年代ロンドンのファッショナブルな雰囲気と映像を楽しむには丁度いいし、人間の内面を炙りだした作品としても秀逸。だけどオレンジ髪のエルファニングしか救いどころがないから、可愛いティーンネイジャーの友情物語を見たい人には間違ってもおすすめできない泥沼映画だよ。