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夜はいじわるの一のレビュー・感想・評価

夜はいじわる(1961年製作の映画)
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おもしろーい。老舗鰹節問屋の長女・山本富士子の所謂“恋とのれん”型ラブコメ。番匠義彰特集以来こういうの大好物なので嬉しい。お相手役・船越英二の全然なびかなさそうなかんじもいいけど、密かにお富士を想う営業部長・川崎敬三が弱々しくて可愛らしくてたまらん。失恋気分で「良い梁と良い縄が…」とうなだれる敬三…お富士の結婚前夜に飲み屋で出会った英二にうざ絡みする敬三…最高。画面の奥やカットの切れ目にも気の効いた(≒どうでもいい)細かい演出が光る。鰹節買い付けの高知パートがお富士歌唱の鰹節ソングで始まるのもバカバカしくてイイよなー。

弓削太郎『掏摸』
本郷功次郎主演のスリ映画。であるからして、手のアップに始まり手のアップが物語を生み手のアップに終わる。印籠をスろうとしたスリの腕を目にも止まらぬ速さで切り落とす老剣士・浜村純のビジュアルのインパクトに色んなこと忘れそうになるけども、ライバルのスリ師・濡れ燕こと滝田裕介とのスリ対決とか渋いよなー。堅気の世界からヤクザな道へと足を踏み入れる本郷の指がいやらしく列車の座席を這い撫でるラストカットがかっこいい。『可愛いくて凄い女』の天知茂もそうだったけど、やっぱり空の着物相手にスリの自主練するんだなースリって。
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