まぬままおま

惑星のかけらのまぬままおまのレビュー・感想・評価

惑星のかけら(2011年製作の映画)
3.5
夜の街を徘徊する少女とストーカー男が出会い、男の元カノをストーキングする物語。

元カノの全てを覗きたい男は、ナルコレプシーで意識をシャットダウンし目を閉じる。
少女は居場所に戻るよう呼び掛ける声をイヤホンからの音楽で遮断する。

そんな二人が邂逅する。

少女はストーカーという行為を通じて関係≒居場所を築こうとする。しかしそれは果たされない。男はというと元カノに何もみていないと言われる始末。ストーキングは二人の目的を挫折させる。その後の一方通行の会話は彼らの相互理解を錯覚させ、身体を交わらせても肌を撫でるだけ。朝を迎えたら、二人はさよなら。二度と会うことはない。

かりそめの大都市トーキョーで起こる寂しい物語である。

では社会から浮遊せず、顔のある他者から出発する恋愛物語はこれからどのように展開できるのだろうか。

蛇足1
ストーカー男を渋川清彦さん、元カノを河井青葉さんが演じていて『偶然と想像』やんと思って笑ってしまった。

蛇足2
セックスシーンの描き方が面白い。前戯を多く撮っていて、性欲の発散より愛し合うこと(?)を重視しているように思えた。

蛇足3
タイトルの『惑星のかけら』は『恋する惑星』を想起させる。確かに都市での浮遊感は感じられるが、映像の温度感が全く違う。本作は冷たく、『恋する惑星』は暖かく湿ったい。