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ゲームの規則のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

ゲームの規則(1939年製作の映画)
3.7
大好きなルノワール監督の代表作といわれています。ただストーリーがソープオペラ的で、「フィガロの結婚」で始まり、貴族の三角関係、四角関係…もうわけわからない…ドタバタの不倫ラブコメでした。フランスでは不道徳過ぎて上映禁止になっています。

ルノワールご本人が伯爵の友人役で登場、いちばん善良で信頼されている役。穏やかな恰幅のいい、いかにもほっこりした雰囲気。お父さんの絵のモデルになっているお母さん似です。

伯爵の別荘で狩猟パーティーが開かれ、そこでの男女の駆け引き、逢い引き、嫉妬等々、伯爵夫人は四股。細眉の二股の伯爵とその愛人等々。

ハンティングもむごたらしいものでした。ウサギ何百羽…キジ何十羽。

「ゲームの規則」とはそれぞれの階層社会の暗黙のしきたり。国の英雄であっても、その世界に入ろうとするならばルールを知らなければ弾かれてしまう。「バリー・リンドン」でバリーが足を引っ張られたように、伯爵夫人の愛人であり英雄のアンドレは社交界では消える運命にありました。

ブニュエルの「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」より毒気は少ないのですが、人が亡くなっても悲劇にもならない。自分以外に関心がなく、悦楽に浸る貴族階級の人びとでした。

1937年の硬派な「大いなる幻影」では、第一次大戦で貴族階級が市民に取って代わられ、滅びゆく人びとへ敬意をもって別れを告げていました。

こちらは1939年公開。第二次大戦前に、貴族階級が戦火とは縁遠い存在でありながらも、消えゆく運命であり、最後に華々しく囲いの中でやけくそになっている姿を描いたものでした。
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