似太郎

ゲームの規則の似太郎のレビュー・感想・評価

ゲームの規則(1939年製作の映画)
4.8
【そして誰もいなくなった🍂】

これは映画史上に残る「名作」というより「人を食ったカルト作」という雰囲気が濃厚な、ブルジョワ達による愛憎悲喜劇。

全編に渡って即興的で何をしたらいいのか不明瞭な点がゴダールの『気狂いピエロ』みたいなカオス度があるし、矢継ぎ早で進むスピーディーな展開などがパンキッシュ。残酷で滑稽。狂気の一代カーニバル。🤯💥

全編に渡って破壊と構築を繰り返す。これの延々と続くブルジョワ達のバカ騒ぎが、戦前の混迷とした世界的状況を反映しており一代黙示録として再現される。

中盤に於ける狩猟シーンがラスト近くで見事に人間界に「移転」する特異な構成といい「何が何だか分からないが凄い熱量」といった【やる気まんまん】なルノワール節が時にエレガンスに、時にキッチュに彩られた至高の逸品と言える。

放り投げたようなラストといい、ストーリー性を粉砕した感のある文体実験とも取れる作品。ヌーヴェルヴァーグで再評価されたのもよく理解できる既成の文芸映画へのアンチテーゼ。

ハマる人はハマるし理解できない人には全く理解できないという極めて厄介な代物でもある。
似太郎

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