菩薩

彌勒 MIROKUの菩薩のレビュー・感想・評価

彌勒 MIROKU(2013年製作の映画)
4.0
比類なき稲垣足穂のその文学的空想世界と、林海象の浮世離れした作家性の相性はなかなか良い。宇宙的郷愁世界を爆音でつんざく飛行感覚、A・V・P方面のエロティシズムが少々物足りないが、この小難しい暴力性を欠いた「ライチ光クラブ」の様な美的少年世界への誘いと、後半の退廃かつ耽美的なコスモロジームードにはなかなかうっとりする。ボロボロの風貌でなけなしの銭をはたいて電気ブランをこれ見よがしに煽る永瀬正敏、ここで一気に画面が締まるし、何より前半部に出てくる四谷シモンが個人的にはキャーキャー物。タルホ的世界に足を踏み入れたことがない人からしたらなんのこっちゃだろうけど、読んでたとしてもはっきり言ってなんのこっちゃだし、結局は単に感覚に任せて仕舞えば誰でも飛べる。人、それはすなわちAからOへと貫く円筒であり一本の管、人間は糞と小便の間から生まれる。
菩薩

菩薩