やん

42〜世界を変えた男〜のやんのレビュー・感想・評価

42〜世界を変えた男〜(2013年製作の映画)
3.5
なんと言っていいか、悪くないが個人的にはかなり惜しい出来。実話ベース、ましてや伝説の黒人初のメジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソンという素晴らしい素材を生かしきれていない印象。残念で仕方ない。ハリソン・フォード演じるブランチ・リッキーがなぜ世間の反対、反感を買ってまで米国民が愛する国民的娯楽のメジャーリーグベースボールに黒人選手を雇いいれたのか、もう少し深く掘り下げることで作品に深みが出たはず。ジャッキーの関連書物などを読んだ僕の知る限り、ジャッキー本人や家族、周囲の人間が受けた差別は今作で描かれていたようなものでは済むはずもなく、さらにエグく想像を絶していたはず。その部分もイマイチ薄い。ただ、映画的な時間制約がある以上仕方ないと言えば仕方ない。無駄を省いて、野球に詳しくない者にもジャッキーの受けたことを理解できるよう巧くまとめている。そういう意味では監督であるブライアン・ヘルゲランドはいい仕事をしたと言える。ときどき「おっ!!」と思うグッとくるショットもあるし。「L.A.コンフィデンシャル」でも思ったが、あの辺の緩急の付け方は流石のひとこと。やはりヘルゲラルドは腕がある。なんだかんだ不満を垂れてる自分も、ハイライトのあのシーンの背番号“42”に涙してるし(笑) 間違いなくあのカットは100億点。その時点で全てOKじゃんと言えばOK。あと特筆すべきはハリソン・フォードが作品を通じて終始良い。老いを上手く自分のものにした演技してる。新境地。結論は、とにかく普通に良いし、纏まりがあって感動できて更にMLBの黒人に扉が開かれた歴史まで学べて、この秋本当に万人にお薦めできる作品であることは間違いない。こんな作品を難癖付けて素直に観れない俺に問題があるんですよ、きっとね。
やん

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