愛しあいは殺しあい。抗えない血が道を作る。背負った宿命に翻弄される哀と愛の物語。
オイディプス王から着想を得ている本作。重い話の中で挟まれる笑いが絶妙。コミカルな動きとアホさ加減に心掴まれるのと同時に溢れる思いに押し潰されそうになった。ローラン族の運命ってやっぱり悲しい。永作博美の顔が堺雅人（蛮幽鬼でローラン族を演じている）と似ているから血族を語られてもしっくりくる。出ている人みんなすごいんだけど高橋克実の熱演に笑いが止まらなかったしめちゃくちゃかっこよかったよ！こんな極悪な力強い役もできるのかー！座れって言っといてそりゃないわ！イスとイヌの秘話に吹き出した！
物語だけではなくライティングに合わせて撮り方が工夫されていたり正面以外から捉えている画が多かったりと映像としても面白い。演出がいいから何処を切っても劇的なのかなぁ。舞い散る桜、雪のような毒の雨、血しぶきが作る道が美しい。衣装も可愛いくて色味も好み！いのうえ歌舞伎最高！哀を救うのは愛なのだ！
充実した3時間。言葉が真っ直ぐぶつかってきた。上映時間が固定されているからなかなか観に行けなかったゲキシネ。TVで少しずつ追いかけている。再開したら劇場へ観に行こう。
