Asino

オスロ、8月31日のAsinoのネタバレレビュー・内容・結末

オスロ、8月31日(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

見たくても手段がない、と思っていた作品だったので偶然WOWOW オンデマンドで見つけて飛び上がっちゃった知らなかった!
ヨアキム・トリアー監督の2作めでオスロ3部作の1つ。1作めの「リプライズ」も1月にMUBIで見たのでやっと3本見れた。

「リプライズ」に近い雰囲気があり(主演も同じアンデルシュ・ダニエルセン・リー)、主人公の繊細さと夏のオスロの美しさがまずとても印象深い。「私は最悪。」は、この映画のずっとポジティブな語り直しなのかな?と思う部分もあった。

話は主人公の自殺未遂から始まり、そこから改めて実行に移すまでの二日ほどを描いている。
あの結末は彼のなかでもう最初から決まったことだったのか。
それとも、一見淡々としているようでいても、そうならないために最後にすがるような気持ちで親友や妹と会おうとしたのか。

基本主人公目線だし、励ましてくれる親友はきっともうものすごくいいやつなんだろうと思うけど、実際には過去の主人公がかなりひどい行いをしていたに違いないことも、妹や過去の恋人との関係性(その周囲の人たちの言動)の端々から伝わってくる。

夜も暗くならない(そしてそのまま朝が来る)北欧の夏の、でも確実に終わりが見えている8月31日。
パーティーで酔ってやらかす子供っぽい騒ぎ、誰もいないプールに忍び込む深夜。
青春映画の定番みたいな美しいシーンが続くけれども、それだけになおさら、主人公の疲労感と諦念が、映画の間中ずっと背後に流れていて不穏なまま。

必ずしも、主人公に共感も理解もする必要はないのだとわかっているのだけど、私はやっぱり(何があったのか具体的には語られなかったけど)、とうとう現れなかった妹や、両親の事ばかり考えてこの映画を見てしまってた。
ご両親は旅行から帰ったら彼を見つけるわけだよね...。
こんな残酷なことってあるだろうか。

薬物中毒や自殺願望が病気であり本人にはどうしようもないことなのだということもわかるのだけど。
Asino

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