カラン

二人のブルディのカランのレビュー・感想・評価

二人のブルディ(1929年製作の映画)
4.5
ロシア革命で赤軍と白軍が争っているなか、ピエロの親父が引退するので、息子に二代目を任せると。引退公演は2人のブルディでやろうとなるが、、、赤軍に肩入れする息子が白軍に捕らえれて、、、コメディ。

驚いたことに各ショットがベクトルを持っている。冒頭、かなり迫力がある爆風が左から右に吹く。次に右から左に吹く。ショットを衝突させて、ドンと正面から自分に吹く爆風を誘導する。左へのベクトルと右へのベクトルをぶつけることで、奥から手前へ向かってくるベクトルの方向性と量をいっぺんに強化している感じである。

これは危ないね〜。いかにも国語の時間に習った感じの「弁証法的」モンタージュである。こんな調子でイデオロギーの流布に本気になられたら、ころっとね、扇動されちゃうんだろうね。カメラに距離取れないとね。

動物の調教や小人と巨人の新体操?みたいのとか、何より頭頂部がぱかっと上がって禿げるギミックを搭載したピエロの異様に生々しい存在感。溝口健二の歌舞伎ばり。いちいち凄えなと感心して、笑いを忘れるコメディ。


DVD。なかなか優秀なリマスター。
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