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スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団のkuuのレビュー・感想・評価

3.7
『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』原題 Scott Pilgrim vs. the World.
映倫区分 G.
製作年 2010年。上映時間 112分。

エドガー・ライト監督が、カナダの人気コミックを実写映画化したバトルアクション・ラブコメディー。
不思議な魅力を持つ女性に恋したことで、彼女の邪悪な元カレたちと戦う羽目になる青年の奮闘を、日本のゲームや漫画のパロディー満載で描く。
主演は『JUNO/ジュノ』のマイケル・セラ。
共演には『ダイ・ハード4.0』のメアリー・エリザベス・ウィンステッド、『17歳の処方箋』のキーラン・カルキンら多彩な顔ぶれがそろう。

今作品は、ブライアン・リー・オマリーのグラフィックノベルを原作とするこのコメディは、結構ワイルドで、独創的なコメディでした。
マイケル・セラは、トロントのガレージバンドでベースを弾き、ゲイの親友(キーラン・カルキン)と同棲し、高校時代のガールフレンド(エレン・ウォン)とビデオゲームをするなど、概して地味で低エネルギーな生活を送る怠け者のスコット・ピルグリム役を演じている。
そんなピルグリムが、ローラーブレードをするアメリカ人、ラモーナ・フラワーズ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)に出会い、世界が一変。
ピルグリムは、ラモーナの7人の邪悪な元恋人たちの怒りとスーパーパワーに打ち勝つことができれば、愛を手に入れることができるかもしれないんやけど。。。
今作品はどうなんかなぁ万人受けする作品じゃやいやろなぁ。
しかし、個人的には結構面白かったし、セラは心優しい負け犬の役を巧みにこなしてた。
しかし、もう少し伸び伸びやってくれてもいいんかやぁなんて感じた。
他のマイケル・セラの映画と同じように始まるように見えなくはないが、エドガー・ライト監督はセラを高尚なオタクの世界で休ませておくつもりはないねんなぁこれがまた。
スコットがラモーナに会うと、野郎(ボーイ)・ミーツ・女子(ガール)系から、野郎が女子を勝ち取るものへと移行するとこは独特。
今作品は、オマリーの原作ファンやゲームファン、さらには、ハリウッドが時折見せる異色作を楽しみたいって方には満足できる作品じゃないかな。
オフビートで、ガツンときて、そして、ビジュアルがめくるめく、ワイルドで独創的な作品に仕上がってるって個人的に思います。
ラモーナの元恋人の1人(ジェイソン・シュワルツマン)が、彼女の他の元恋人たちを集めて、マジに復讐に燃えるスーパーヒーロー元恋人同盟を結成し、スコットがラモーナを射止めるには、7人全員に勝たなければならないことから、狂気は始まる。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』とか『ホット・ファズ』の監督であるライトは、アクションシーンとミュージカルの幕間に、さまざまなCGIスーパーエフェクトを陽気に絡ませ、ライトの世界ではすべてが実際に意味をなしていることを除けば、ミシェル・ゴンドリー監督のような異色の世界をチョイ起想させる。
スコット・ピルグリムは、気が付いたら怠け者であると同時にスーパーヒーローになってる。
ピルグリムは、マシュー・パテル(サティア・ババ)、俳優(クリス・エヴァンス)、ベースを弾く菜食主義者(ブランドン・ルース)、陽気なロキシー・リヒター(メー・ウィットマン)などを相手に、言葉や視覚、感覚的なユーモアでめまぐるしい展開を見せて、ついにはすべてを始めた元凶、ギデオンと対峙することになるんやけど。
今作品は『ショーン・オブ・ザ・デッド』とは異なり、意外なほどハートと誠意が込められている(あちらもハートが無いことはないが)。
おそらく、セラが陽気で、ポンコツであると同時に完全に愛らしいという天性の才能を持っているからちゃうかや。
ピルグリムのバンド仲間、特にアリソン・ピルや、スコットの妹役のアナ・ケンドリックの面白い演技とか、多くのキャストにも同じことが云えるかな。
また、今作品の楽しめた部分は、ポップカルチャーや、ユーモア、加えハートに、そして、キャラを中心としたCGIとか、盛りだくさんの要素を、ストーリーに影響を与えずに実現するライト監督の手腕にある。
一部の映画ファンには正直疲れるかもしれへんけど、今作品は、若者をテーマにした映画の精神と本質をより良く表現し、ゲームや特撮のファンにもアピールできる、ここ最近の数少ない映画の1つかもしれない。
今作品は、セラにとってとてつもなく大きな伸びしろは必要ないかもしれないが、堅実なキャリアの動きであり、セラがハリウッドの風景の中で居場所を持っていることの証明となる作品と云えるんちゃうかな。
面白い作品でした。
kuu

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