エイデン

アメイジング・スパイダーマン2のエイデンのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

巨大企業“オズコープ社”の“遺伝子交配ラボ”で働く科学者のリチャード、その妻メアリーのパーカー夫妻は、自分達の研究が何者かに狙われていることを察知してビデオメッセージを残し、息子ピーターを兄ベンとメイ夫妻に預けると、飛行機で逃亡を図る
しかし機内には暗殺者が紛れ込んでおり、格闘の末に飛行機は銃弾で窓が割れて墜落してしまう
その寸前、リチャードは何とか研究データを“ルーズベルト”に送信することに成功するのだった
そして現在
成長したピーターは恋人グウェン・ステイシーと交際しながらも、遺伝子操作されたクモに噛まれたことによって得た超人的な力でニューヨークを守るヒーロー“スパイダーマン”として活躍を続けていた
高校の卒業式の日、ピーターはトラックで街中を暴走していたロシア人ギャング アレクセイ・シツェビッチを捕まえ、彼の盗んだプルトニウムを奪還する
その最中 かつて“リザード”との戦いで命を落としたグウェンの父ジョージの幻影を目撃
その後 何とか卒業式に間に合ったピーターは、グウェンやその家族にも卒業を祝われるが、そこでもジョージの幻影を垣間見、彼が死に際に危険に巻き込まないためグウェンに近づくなという言葉を思い出す
その後もグウェンの家族に誘われ食事に向かったものの、ジョージの言葉がピーターを縛り付けていた
そのことでグウェンと口論になったピーターは、煮え切らない態度から彼女に別れを告げられてしまう
以来 夢中になってスパイダーマンとしての活動に勤しむピーターだったが、世論はヒーローによる自警活動の是非を問い、意見は二つに割れていくのだった
一方 長らく不治の病に臥せっていたオズコープ社のCEOノーマン・オズボーンが、ピーターの旧友である息子ハリーの前で息を引き取る
その間際 ノーマンは、自らを蝕む“R-ウイルス増殖異常”は代々オズボーン家の者に遺伝することを明かし、治療のための研究データと会社をハリーに託す
新CEOとなったハリーは、長らく父に距離を置かれていた複雑な感情からフェリシア・ハーディを秘書に新体制を作り上げようと画策する
そんな中 ハリーはノーマンの死を知り心配したピーターの訪問を受け、2人は互いの立場も忘れて歓談するのだった
それからしばらくして、ピーターはグウェンに呼び出され和解するが、留学のためイギリスへ発つことを告げられショックを受ける
その頃 アレクセイとの事件に巻き込まれそうになったところをスパイダーマンに救われ、彼を心酔するようになっていたオズコープ社の冴えない電気エンジニア マックス・ディロンは、誕生日にも関わらず残業して電力異常を解決するように命じられていた
1人電気異常の起こる遺伝子交配ラボを訪れたマックスだったが、そこでの作業中 事故を起こし電気ウナギのいる水槽に落下してしまう
マックスが息を引き取ったと考えたオズコープ社は事件自体を揉み消そうと考えていたが、彼は突如として目を覚ます
その身体は電気を自在に操る力に目覚めていたものの、まだ完全にコントロールが効かず、マックスは電気エネルギーに導かれるようにタイムズスクエアに現れる
混乱しながらも警官隊と対峙するマックスは、騒ぎを察知して現れたスパイダーマンにも助けを求めるが、警官に狙撃されたことで暴走
周囲の人々の罵声だけでなく、スパイダーマンにも売名行為に利用されたと思い込んだマックスは、周囲の電気を身体に取り込みながら激しく暴れ回るも、スパイダーマンの機転で何とか事態を収束する
やがて“レイヴンクロフト異常犯罪者収容所”に収監されたマックスは自らを“エレクトロ”と名乗り、自分を裏切ったスパイダーマンへの復讐を企て始め、また自らの病を治療しようと試みるハリーも父の残した研究データから治療の糸口がスパイダーマンにあると突き止め、それぞれの運命が交錯していく



『アメイジング・スパイダーマン』の続編
ヒーローとしてデビューを果たしたピーターに降りかかる脅威を描く

それだけでなく新たな敵、恋や友情の危機など、作りとしては前シリーズの『スパイダーマン2』と同じような型枠の続編作にはなってる
あちらは二重生活を通してアイデンティティーを見失う物語で、こちらは青春とSFのジャンル色が強い点で異なってはいるけど
またシリーズを貫く大きなストーリーラインがあるという違いはあり、特に前作で残された謎の死を遂げた両親やその鍵を握るオズコープ社が本格的に登場するなど、更なるシリーズへの期待感を高める内容になってる

アクション関連もかなり完成度高く、クールな画に魅力される
スパイダーマンに立ち塞がる新たなヴィランとして登場するのは電気を操る超人エレクトロ
過去に無いほど純粋な強さを見せ付ける存在で、元のピーター・パーカーと同じく社会的に成功していない弱い人物をベースに、力を得て同じ超人でありながら称賛を受けるスパイダーマンを憎み怒りを爆発させるキャラクター性も割と好き
更にサイスーツをまとった“ライノ”に、スパイダーマンのライバル“グリーン・ゴブリン”も登場
それぞれキャラも立ってて、原作または前シリーズからのリデザインも良い
それぞれの背景からスパイダーマンに襲い掛かる強敵として十分に描かれてる

複雑に運命が絡み合い、2作目にしててんこ盛りな内容でやや煩雑ではあるけど、ヒーローとしての活躍や感動的なラストなど作品としてはかなり好き

ただ残念ながら製作が期待するほどの興行的成功に繋がらず、加えてマーベル・スタジオ側からスパイダーマンをマーベル・シネマティック・ユニバースに加えるためのオファーもあり、本作でシリーズは終焉を迎える
当初予定されていた4作目までの続編や、寄生エイリアン“ヴェノム”や女怪盗“ブラック・キャット”、傭兵“シルバー・セーブル”、そしてスーパーヴィランによる犯罪者チーム“シニスター・シックス”、“スパイダーマン2099”などのスピンオフ作品もキャンセルとなった
随所に散りばめられていた伏線の数々も未回収に終わるという残念な結果である

ちなみに未公開シーンや色々な情報を総合すると、作中で暗躍していた謎の男グスタフ・フィアーズがスーパーヴィラン“ジェントルマン”としての本性を表し、シニスター・シックスの結成に繋がるというのが大まかなストーリーラインだった模様
その間、ピーターが新たな恋人メリー・ジェーン・ワトソンと出会ったり、ブラック・キャット(本作でハリー・オズボーンの秘書フェリシアとして登場済み)に誘惑されたりしながら立ち直っていく
更にノーマン・オズボーンやグウェン・ステイシーの復活などもある中、ジェントルマンを打倒し新たなリーダーとなった“ドクター・オクトパス”率いるシニスター・シックスや、ヴェノムを超える力を持つ怪物“カーネイジ”の登場という危機にスパイダーマンが立ち向かうことも想定されていたらしい
これは観たかった

こうして観るとますます不遇のシリーズという認識は強いけど、ストーリー自体もスーパーヒーロー映画としても楽しめる作品
(一応)バトンを受け取ったマーベル・スタジオの『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』にて救済されたことも大きい
没になったシリーズということで抵抗感ある人もいると思うけど、そうした色眼鏡を外して観てみてほしい作品
エイデン

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