石川

アメイジング・スパイダーマン2の石川のレビュー・感想・評価

4.0
面白かった。
敵の設定がとても良い。
10年前に劇場公開された作品ですが、敵の抱える問題がとても現代的でした。
黒人だし、弱者男性だし、他者への依存性が強い、承認欲求の化け物。
アメイジングスパイダーマン1を見て、なんだか軽薄だなぁという印象があったが、今作でピーターはその所為で見事に痛い目に遭う。
人助けをして気分の良いスパイダーマンは助けた黒人に対して「君の名前を教えて!そうかマックスか!この街を頼むよ!」なんて軽口を言う。
街のスーパーヒーローからそんな言葉を掛けられたマックスはとても嬉しくなり以後スパイダーマンに傾倒してしまうのだ。
この点において現代を生きる自分たちが考えさせられる問題提起だと感じるので高評価です。
現代はインターネットの登場により他者の生活がより身近に感じられるようになった、ような錯覚がある。セレブの生活が可視化されることで一般人は自分の生活が惨めに思えるんじゃないだろうか。
だからこそ認めてほしい。自分自身を肯定できればいいじゃないか、と言うのは強がりで、他者から認められないと意味がないんだ、という強迫観念のような錯覚が現代の闇だと思う。
自己肯定感の低い承認欲求の化け物が無敵の人になるといったような、この時代の負の一面を切り取っていて、時事的なルサンチマンの記録として価値のあるフィルムだと思います。

ラストのヒーローの帰還はベッタベタなエモ。強制的に心地良くされる大満足のサービス。これぞエンタメ。
石川

石川