彼女にフラれたバンドマンの冴えない日々を、如何にもシネフィルが撮ったようなモノクロ映画。元カノに未練がましく執着するブレット、自主映画を撮る女子クレオ、勤め先のギター店主、クールなカリスマ・ロッカー、同居する母とその恋人ミュージシャン。登場人物はみな単純でわかりやすい。そしてみんな、情けなく惨めなブレットに先へ進めと温かいアドヴァイスをくれる。つまり結論は先に出てるのにウダウダ先延ばししてるだけの、平凡でちっぽけな青春と成長の軌跡なんだけど、主演フラナリー・ランスフォードが若く見えず。むしろブレットに片思いするシネフィル&ヴィンテージ好きクレオに共感してしまうよ。
60Sサイケ~ラモーンズ/クラッシュみたいなロックンロール・バンドのギグとそのパフォーマンス自体は好き。マニアックなレコード屋での会話は「マニアあるある」。終盤は何故かカントリーやグラム・パーソンズの巡礼ロードムービーになるけど、結局のところ音楽があればそれでいい、音楽ありきの映画だった。この辺のミュージシャンに詳しいと楽しめそう。